房総半島下における正断層タイプの地震の発生メカニズム

橋間昭徳1・佐藤比呂志1・佐藤利典2

1東京大学地震研究所, 2千葉大学理学研究院

Earth, Planets and Space, 72, 79, http://doi.org/10.1186/s40623-020-01201-6 Published: 3 June 2020

bet5365亚洲版房総半島(千葉県)は、ユーラシアプレート下へのフィリピン海プレートと太平洋プレートの二重のプレート沈み込みによる隆起運動で形成されました。

沈み込んだフィリピン海プレート内部では、正断層タイプの地震がたびたび起きています。2019年にはMw4.9の地震があり、関東地方の広い範囲で揺れが感じられました。このようなプレート内地震は都市部に大きな被害をもたらす可能性があります。

プレート内地震は、プレートが沈み込む過程で内部に徐々に蓄積された力(応力)を解消しようとして起きるものと考えられています。どのように応力が蓄積されるかをモデル化して定量的に見積もることが、地震活動の解明にとって重要です。

そこで、本研究では、房総半島および関東地方下のプレート内地震の発生の仕組みを解明するため、図aに示したモデルを用いて二重のプレート沈み込みによってプレート内部に形成される応力を計算し、地震活動との関係を調べました。

モデル計算によると、プレート内の応力は房総半島周辺で水平伸張的となりました。計算した応力で実際の地震活動を説明できるか確かめるため、関東地方で発生した地震に対してクーロン破壊関数(ΔCFF)という物理量を求めました。ΔCFFは地震断層にかかる応力が断層破壊を引き起こす値(破壊強度)に近づいたかどうか示す指標です。ΔCFFの値が正(+)であれば、地震を引き起こしやすい応力であることを示します。

bet5365亚洲版図bに計算から求められたΔCFFを示します。ΔCFFは房総半島下で発生する正断層タイプの地震に対し正(赤色の記号)となりました。また、南方のフィリピン海プレート内の横ずれタイプの地震、伊豆半島の島弧衝突域の逆断層タイプの地震などに対しても、広く正となりました。

以上の結果は、本研究の応力形成モデルによって、房総半島および関東地方での実際の地震の発生をよく説明できることを示しています。今後、さまざまな地域の多様な地震活動の解明に向け、このような応力形成モデルの研究を進めていくことが重要です。

図の説明 (a) 房総半島(BP)と関東盆地(KB)周辺の地形とプレート沈み込みモデル。等深度線(0, 10, …, 40 km)で表したプレート境界面上にプレート沈み込み運動を与え、プレート内部に生ずる応力場を計算。ビーチボール記号は2019年5月25日のMw 4.9正断層タイプの地震。挿入図は鉛直断面でみたモデルの概念図。地下構造として弾性-粘弾性二層構造を仮定。(b) モデル応力と実際の地震から計算したクーロン破壊関数(ΔCFF)。ビーチボール記号は2003年から2019年9月までの地震を表す。ビーチボールの色は各地震に対するΔCFF。赤色は地震を引き起こしやすい応力がかかっていることを示し、青色は逆を表す。挿入図はΔCFFの値に対する対象領域内の地震の頻度分布。